旅のおみやげ

空港行きのバスを待っていたら、
「おーい!」と呼ぶ声が聞こえた。
声の方を見ると、知人が車を停めて手を振っていた。
「こっちこっち。乗れ。」
「え??」
「空港行くんやろ。」
「大丈夫です。バスもう来ますから。」
空港までは遠いし、視界にはもう、リムジンバスが見えていた。
「いいから、いいから。」
「でも・・・」
戸惑っていると、隣で同じバスを待っていた年配の女性から、
「いいから、乗っていきなさい。」
と声をかけられ、思いがけずの旅の出発になった。

実は、出発の前々日ほどに、頭を強く打ってしまい、
一緒に旅をする人に迷惑をかけてしまったらどうしようと
ドキドキしながらバスを待っていた。

そんな時の再会。
いろいろな話しをしているうちに、
飛行場に着く頃には不安もだいぶ和らいでいた。

 
そして旅から帰ってきたら、帰省した家族や友人との再会、
先輩からの暑中見舞いなど、嬉しいことがたくさん続いた。

旅をしたことで、
多少なりと覚悟を持ったことで、
日常の出来事や周りの人たちが、より大切に思えた。

世界は広い。
それを知ると同時に、
大事なものは日々の中にあると再認識した。
今回の旅のおみやげ。