Tears in Heaven

「生きていたら、いくつになってたの?
あ、生きてたら、だなんて…」


「お先に失礼します」と、
お花を生けかえている背中に声をかけると、
私が誰に手を合わせていたのかを分かったのか、
そんな言葉が返ってきた。

気まずそうな顔をされたけれど、
そんなことはない。私もよく考えているから。

今年は入学かぁ…
運動が好きだったからなぁ、将来は…


家族はどうしているのだろうか。
顔を見たかったけれど、さすがに家までは行けなかった。

それぞれの胸のうちは、誰にも分からない。
でも、もし、悲しみの淵にいたとしても、
どこか、ひとすじだけでも光が射していてほしいと思う。


これからも、後悔や悲しみが消えることはない。
思い出しながら、
泣きながら、それでも前へ進むしかない。

そして、私には、
彼女と出会わせてもらったから、
できることがある。
やらなければいけないことがある。

ただ、家族だけは、もう精一杯だから、
どうか、これ以上の悲しみを与えないでください。